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 地域資源紹介

島レモン

島レモン

■指定されている場所:小笠原村

「菊池レモン」は、よりまろやかな酸味とさわやかな香りが特徴のレモンで、第二次世界大戦後のアメリカによる占領から日本へ返還されてしばらく後に八丈島から小笠原父島に持ち込まれたものです。果実は通常のレモンの約1.5 倍の大きさで形は丸みを帯びています。皮が青いうちから食べられることから、熟す前の緑色果を小笠原では「島レモン」もしくは「小笠原 島レモン」として出荷しています。2013(平成25)年からは、都内の中央卸売市場では「小笠原レモン」という商品名でも売り出しています。

島レモンの食べ方

島レモン

島レモンは甘みがあるため、生のまま食べることもできます。さらに、ゼリージャムに加工したり、菓子類の材料にも最適です。また、焼酎の水割りに島レモンを絞ったものを、小笠原では「水レモン」と呼び愛飲しています。お土産品として、島レモンを用いたグミゼリータルトラスクカード(レモン味のカスタードクリームのようなスプレッド)など色々な加工品が販売されています。また小笠原特産の「オガスコ」は、島レモン、パッションフルーツ、青唐辛子、塩で作られたタバスコ風調味料です。また、大手酒造メーカーと共同で島レモンの果汁を用いたチューハイが地域・数量限定で発売されています。


島レモンの栽培

島レモンの栽培
鋭いトゲ

レモンを含む柑橘類の枝には外敵となる動物から身を守るため、たいてい鋭いトゲがあります。このトゲがレモンの果皮に傷を付けたり収穫する人に刺さることがあるため、トゲ切りが行われます。一般にレモンは四季咲きで、小笠原の島レモンでは年3回、開花と収穫が可能です。仮に葉を1000枚持っている若木の場合、春に開花して9 ~ 11月に収穫する果実が約100個、夏に開花して11 月に収穫する果実が14個、秋に開花して4月下旬~6月中旬に収穫する果実が5個くらいの比率で採れるため、収穫の主なシーズンは9 ~ 11月になります。


袋掛けされた島レモン

広島県や愛媛県で栽培されているレモンでは秋に開花したものが冬を越せないため、小笠原で秋に開花し4月下旬からグリーンレモンとして出荷できるものが、国内で最も早い時期に流通するレモンになります。樹の上部や外側になった果実は、日焼けして部分的に黄色になってしまうことがあるため、果実に袋をかけて保護します。


菊池レモンとマイヤーレモン

菊池レモンとマイヤーレモン

「島レモン」と呼ばれている「菊池レモン」は、1940(昭和15)年、テニアン島※に住んでいた菊池雄二氏が八丈島へ帰る際、「ヤップレモン」と称するレモンの苗を持ち帰ったものから増え広がりました。このレモンは「テニアンレモン」「サイパンレモン」(サイパン島はテニアン島の北隣の島)という呼び方の他に、導入者にちなんで「菊池レモン」とも呼ばれています。1973(昭和48)年、八丈島から苗が父島に持ち込まれ、小笠原でも栽培されるようになりました。小笠原では、菊池レモンの緑色果を「島レモン」の名で出荷しているのに対し、八丈島では菊池レモンを樹上で完熟させたものを「八丈フルーツレモン」の名前で出荷しています。緑色果の「島レモン」も、購入後に常温である程度の期間置いておけばさらに熟して果皮が黄色へと変わります。

菊池レモンとマイヤーレモン

菊池レモンは、植物分類学的には「マイヤーレモン」Citrus meyerii)が最も近いですが、菊池レモンの方がマイヤーレモンよりも種子の数が少なく、果皮や果肉の色も薄いといった小さな違いがあります(それらは、生育環境の違いによる差の可能性もあります)。マイヤーレモンは中国原産で、一般的なレモン(Citrus limon)とオレンジの自然交配によってできたものと考えられています。マイヤーレモンの主要な産地はニュージーランドです。島レモンは他のレモンにない独特の香りがありますが、これはマイヤーレモン系の果実に特有の香気成分「チモール」を含んでいるためです。

※テニアン島は、ミクロネシアの北マリアナ諸島の島の一つ。小笠原諸島からテニアン島までの距離はおよそ1400km。近くにはグアム島があります。

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