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 地域資源紹介

稲城の梨

稲城の梨

■指定されている場所:稲城市

現在、稲城で生産されている梨の品種は20以上あります。皮が赤みを帯びる「赤梨系」と淡黄色の「青梨系」に分かれ、稲城で生産されている主な品種は、赤梨系では甘味が強いながらもしつこく無く非常にみずみずしい「稲城」、成熟すると芳香を発する「新高」、甘味が強く多汁でみずみずしく歯ざわりも良い「幸水」、強い甘味と爽やかな酸味、柔らかな果肉が特徴の「豊水」、糖度が高くシャリっとした食感と特有の風味がある「あきづき」など5品種と、青梨系のみずみずしくて香りが良い「清玉」などがあり、「稲城」「新高」「幸水」「豊水」の4品種が全体の9割を占めています。



稲城の梨の歴史


稲城の梨
稲城市のマスコットキャラクター「稲城なしのすけ」
©︎K.Okawara・Jet Inoue

稲城で梨の栽培が始まったのは江戸時代といわれ、元禄年間(1688〜1704年)に、山城国(現在の京都府東南部)へ出かけた代官増岡平右衛門と川島佐治右衛門の二人が、「淡雪」という品種の梨の苗を持ち帰り、村内に植えたのが始まりとされています。その原木があった場所には、稲城の梨づくりの始まりを伝える「多摩川梨発祥の地」の碑が残っています。
大正〜昭和期にかけ栽培面積が増え、稲城果実生産組合が設立されます。さらに多摩川沿いの生産者が団結して販路拡大をはかるために、多摩川梨果実生産組合連合会が誕生します。1932(昭和7)年には梨の名称を「多摩川梨」に統一して商標登録も行われました。


贈答品として全国に発送される稲城の梨

昭和30年代になると観光農園による販売が始まり、沿道での直売方式が増加します。都市化とともに農家の数は減少しますが、直売方式が一般化し、さらに宅配による全国発送へと移っていきます。
平成に入りJA合併とあわせて「多摩川梨」から「稲城の梨」へとブランド化をはかり、組合のマスコットキャラクターである「梨ぼうや」が発表され、さらに2011(平成23)年には、稲城の梨をモチーフにした稲城市のマスコットキャラクター「稲城なしのすけ」を発表。地域ブランドとして他市との差別化をはかっています。

稲城市の食育の取組


児童による収穫体験

稲城市では食育学習の一環として、生産組合の協力のもと市内小学校児童による農業体験を行い、教育の場としても貴重な機会を提供しています。この取組では、梨の花の開花時期にあわせ4月に花粉付け体験を行い、その後、夏の日差しや害虫から梨を守るための袋掛け、収穫までを一年を通じて体験します。

都市化による地域住民への対応

都市化の進む稲城市では、梨畑の周辺に多くの住宅が建つようになり、農薬散布や農業機械による騒音苦情などを耳にすることも増えてきました。そのため市では防薬シャッターやスイングスプリンクラーの設置など、薬剤飛散を防止する事業への補助を行っています。また生産者においても作業時間の考慮や、前日に農薬の散布旗を掲げるなどして周囲に配慮し、地域住民への周知と理解を進めています。


薬剤飛散防止のためのスイングスプリンクラーと防薬シャッター

人材育成と新たな活用方法

稲城の梨
生産者自慢の梨が並ぶ「稲城市農産物品評会」

生産組合では 地域資源としての梨を継承するために、病害虫防除や土づくりなどの管理作業の情報共有、特に技術が必要となる剪定に関し毎年講習会を行い、後継者や初心者が学ぶ機会の場を設けています。 また稲城市では例年10月に開催する「いなぎ市民祭り」「稲城市農産物品評会」で、稲城の梨の美味しさをPRしています。生産組合の各組合員が自慢の梨を持ち寄る品評会では試食会も行われ、用意した梨があっという間になくなるほどの盛況ぶりとなっています。
また近年温暖化による天候不順などで増えているB品・C品の活用方法として、生産組合では2019(平成31)年に梨のドライフルーツを考案するなど、6次産業化にも積極的に取り組んでいます。

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