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 地域資源紹介

くじらの来遊域

くじらの来遊域

■指定されている場所:小笠原村

地球上で最大の大きさを誇る生物「クジラ」。小笠原諸島近海は、2〜4月は「ザトウクジラ」と出会う機会が多く、5〜11月はマッコウクジラを観察することができます。小笠原は、ホエールウォッチングには最適の場所です。

ザトウクジラ

ザトウクジラ

「ザトウクジラ」Megaptera novaeangliae)は、ナガスクジラ科のヒゲクジラの一種で、体長は約14m、体重 は30トンにも達します。歯の代わりに上あご(上顎骨)に生えているヒゲで、小型の餌を濾(こ)し取って食べます。ザトウクジラには、頭部のコブ状隆起や、非常に長い胸びれ(体長の約1/3)、尾びれの背面の白黒の模様などが特徴です。ザトウクジラは小笠原のホエールウォッチングの代表的存在です。

ザトウクジラは12月〜5月上旬にかけて繁殖のために小笠原周辺にやって来ますが、毎年、シーズンの最初の観察報告は11月頃に寄せられます。ウォッチングのベストシーズンは2〜4月です。3月以降は、生まれて間もない子供のクジラを観察することもできます。出産間隔は大抵2年に1度です。ザトウクジラは他の時期にはアラスカ湾やベーリング海などの北太平洋北部で餌を探して回遊していると考えられています。

ホエールウォッチング

ホエールウォッチング

ホエールウォッチングをするには、まずクジラが高々と吹き上げるブロー(潮吹き)を見つけることから始まります。ブローをすると、海水が霧となってしばらく海上を漂(ただよ)います。ブローが見つかれば、その方向から目をそらさずに次のブローを待ちます。ザトウクジラが尾びれを高くあげて潜水すると、深く潜水した合図です。潜水時間は通常10〜15分ほどです。ザトウクジラは、「ブリーチ」と呼ばれるジャンプや、「スラップ」と呼ばれる胸びれ・尾びれで海面を叩くユニークな動作を行います。これらは、ホエールウォッチングの楽しみとなっています。ザトウクジラがブリーチをして巨体を海面に叩きつけると、まるで爆音のような巨大な音が一帯に響き渡ります。ザトウクジラのオスは、独特な旋律の「歌(ソング)」を歌います。歌っているクジラは、単独である場合が多いです。水中マイクを用いれば録音することも可能です。

ホエールウォッチング自主ルール

ホエールウォッチング

日本で初めてホエールウォッチングが行われた小笠原では、1989(平成元)年よりホエールウォッチングをする際に必要な自主ルールが日本で初めて制定され、国内の他のホエールウォッチングポイントの自主ルールのモデルとなっています。

適用鯨種は「ザトウクジラなどのヒゲクジラ亜目全種とマッコウクジラ」、適用海域は「小笠原諸島の沿岸20海里以内」です(1海里=1.852km)。20トン未満の小型船の場合、クジラから300m以内を減速水域とし、クジラから100m以内を侵入禁止水域とします(マッコウクジラについては50m)。そして、クジラの進路や行動を妨げないようにします。

ウェザーステーション

小笠原ホエールウォッチング協会は、父島西側にある「ウェザーステーション」からの定点観測を行っています(水平線に沈む夕日の絶景ポイントでもあります)。ザトウクジラのシーズンには、30分の観測時間中に10頭以上のクジラを確認することもあります。また、2000年と比べて2017年は2〜3月の平均発見頭数が倍近く増えています。ザトウクジラは、父島の西側で多く観察されており、これは海底地形との関係が考えられます。ウェザーステーションでは、ザトウクジラのシーズン中には「クジラの陸上観察会」も開かれています。ウェザーステーションのように海を見渡せる高台に上がれば、陸からでも双眼鏡で観察ができます。自主ルールの内容や陸上観察会の実施時期については、小笠原ホエールウォッチング協会のHPでご確認ください(http://www.owa1989.com)。

ザトウクジラは、尾びれの裏側の模様から個体の識別が可能です。小笠原ホエールウォッチング協会では、尾びれの写真に基づいて個体識別作業を行っており、300頭近くを識別しています。中には、「モッチーニ」や「タッキー」のように愛称が付けられている個体もあります。

マッコウクジラ

マッコウクジラ
ダイオウイカを食べるマッコウクジラの模型

「マッコウクジラ」Physeter macrocephalus)は、マッコウクジラ科の大型のハクジラの一種です。体長はオスが約16mで体重約37トン、メスは約11mで15〜20トンにもなります。潜水のチャンピオンと呼ばれ、潜水時間は30〜40分前後です。水深1000mを超す外洋域で見ることができます。小笠原では、父島の南島の沖合10kmあたりがウォッチングポイントの一つといわれています。ブロー(潮吹き)は、斜め前方に出るため、遠方からでも種の判別が可能です。突き出た頭も目印になります。胸びれの長いザトウクジラと比べると、胸びれはずんぐりしていて小型です。

小笠原ではメスとその子どもたちからなる「繁殖育児群」が多く見られますが、時々オスと思われる大きなマッコウクジラを見かけることもあります。マッコウクジラは、ダイオウイカなどの中・深層性の大型頭足類を食べています。小笠原では、ザトウクジラやマッコウクジラの他に、北太平洋では個体数が極めて少ないセミクジラがまれに出現しています。

ちなみに、マッコウクジラの腸内に残ったイカのくちばしを核として作られる結石のことを「龍涎香(りゅうぜんこう)」といい、香水の香料として使用されます。この香料が抹香(まっこう)に似た香りがすると言われたために「抹香鯨」という名前が付けられました。

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