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 地域資源紹介

隅田川

隅田川

■指定されている場所:台東区、墨田区

「隅田川」は、東京都の東部を流れる全長23.5kmの一級河川です。荒川の分流であり、北区の岩淵水門で荒川から分かれ、 北区、足立区、荒川区、墨田区、台東区、江東区、中央区内を蛇行し、最終的に東京湾に注ぎます。現在では、隅田川という表記で統一されていますが、明治時代以前は住田川や角田川、墨田川など色々な書き方が混在しました。

墨堤の桜

隅田川
向島の桜 明治時代の中期【手彩色大判古写真】

第8代将軍徳川吉宗が植樹した「墨堤(ぼくてい)の桜」は、都内屈指の桜の名所です。墨堤とは、枕橋辺りから木母寺(もくぼじ)辺りまでの隅田川東岸の土手のことを指します。隅田川は江戸時代には今より水量が多く、頻繁に氾濫していました。そこで、徳川吉宗が、後に「墨堤」と呼ばれる堤を築き、桜100本を植えて行楽地化を図りました。一説には花見客が歩き回って土手を地固めさせる狙いだったといわれています。ちなみに、墨堤沿いにある「長命寺」の門番をしていた山本新六が、1717年(享保2)年、土手の桜の葉を樽の中に塩漬けにしたもので餅を包み、長命寺の門前で販売したのが「桜もち」の元祖です。1928 (昭和3)年、墨堤付近(墨田区側)と対岸の浅草付近(台東区側)は、「隅田公園」として整備されました。

隅田川
墨堤の桜

これは、関東大震災後に火除け地として造られた「震災復興公園」の一つです。隅田川周辺に東京藝術大学、台東区、墨田区が連携したGTS観光アートプロジェクトによって、隅田公園内をはじめとして、東京スカイツリーのビューポイントとなる場所に、環境アート作品12作品とアートベンチ5作品が設置されています。例えば、隅田公園内にある「グリーンプラネット」は、大きなアンテナのような白いオブジェで、下部に開いた穴から頭を出すとユニークな景色が見えてきます。


隅田川花火大会


歌川広重『名所江戸百景 両国花火』

1732(享保17)年、「享保の大飢餓」により多数の餓死者が出ました。将軍吉宗は翌年、犠牲の慰霊のため隅田川で水神祭を開きます。その時に花火を上げたのが「日本最古の花火大会」といわれ、後々に続く「両国の川開き」という花火大会になりました。名前に「両国」とあるように、元々は両国橋の上流付近で打ち上げられていましたが、あまりの交通渋滞のために、さらに上流の「桜橋〜言問橋間」(第一会場)と、「駒形橋〜厩橋間」(第二会場)で打ち上げられるようになりました。現在は「隅田川花火大会」と呼ばれており、約2万発もの花火が夜空を彩ります。


隅田川に架かる橋

隅田川
大正時代の吾妻橋

隅田川には現在、千住大橋から勝鬨(かちどき)橋までの間に全部で16の橋が架かっています。しかし江戸時代は、幕府は防御上の理由で隅田川にわずか5カ所の橋しか作ることを許可しませんでした。「千住大橋」は、1594(文禄3)年に架橋された隅田川の最初の橋です。千住大橋は松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の始まりの句を詠んだ場所で、橋のたもとには記念碑が建っています。

隅田川
現在の吾妻橋

1774(安永3)年に木橋として架けられた「吾妻(あづま)橋」は、1887(明治20)年、隅田川では最初となる鉄橋に架け替えられました。明治の近代化を象徴するトラス式の橋は、新たな東京名所として錦絵や絵葉書のテーマとなりました。都の「隅田川著名橋の整備」事業により、橋の欄干や橋灯の色は、近くにある「浅草寺」や「雷門」を思わせる赤で統一されました。

隅田川
蔵前橋

吾妻橋からは、金色のオブジェで有名なアサヒビール株式会社本社ビルや、東京スカイツリーが一望できます。「駒形橋」は、橋の西詰の「駒形堂」にちなみます。「厩(うまや)橋」の名は、幕府の米蔵の米を運搬するための馬が飼われていた厩に由来します。

隅田川
昭和初期の両国橋。右奥のドームが初代国技館

「蔵前橋」は、江戸時代に幕府の米蔵があったことから名付けられました。橋の色も稲を連想させる黄色で塗装されています。「両国橋」とは、「武蔵野国(むさしのくに)と下総国(しもうさのくに)」の二つの国を結ぶ橋という意味です。相撲の「国技館」の場所は、戦前はこの橋の下流側の両国2丁目に、戦後は蔵前2丁目・両国横網1丁目とこの橋の上流側にありました。

隅田川
永代橋のライトアップ

木橋の「新大橋」は、1912年(明治45)に鉄橋化されました。この新大橋は、1923(大正12)年の関東大震災で隅田川の橋の中で唯一落橋しなかったために多くの人が助かり、「お助け橋」とも呼ばれました。隅田川には、さらに「清洲橋」「永代橋」「中央大橋」「佃大橋」「勝鬨橋」など、個性的な橋が並んでいます。


隅田川の川下り

隅田川
中央大橋

隅田川の橋は、それぞれ架橋された時代の最先端の技術を用いており、川下りの遊覧船に乗って橋を眺めれば、様々な構造やデザイン、またその場所にちなんだ色の橋が並ぶ「橋の展覧会」を楽しめます。遊覧船は吾妻橋から浜離宮庭園を経由し日の出桟橋までのコースが用意されています。

隅田川
隅田川を走るクルーズ船「ヒミコ」

遊覧船には、海や東京に関係した偉人の名前が付けられた「龍馬」、「海舟」、「道灌」や、江戸時代に第3代将軍徳川家光の命で建造された豪華巨船をテーマにした「御座船 安宅丸」、漫画・アニメ界の巨匠・松本零士氏がデザインした「ヒミコ」、「ホタルナ」など様々なタイプの船があります。桜の季節には、お花見船として墨堤の桜を眺めることができます。

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