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地域産業資源紹介


とこぶし

■指定されている場所:大島町

とこぶしは、煮ても焼いても、酢の物にしても美味しいミミガイ科の海産の貝。アワビの子どものように見えますが、成長しても殻長は約7cmほどであり、10年で殻長が15cmを超えることもあるアワビとは異なる貝です。いつまでたっても大きく成長しないので、地方によっては「センネンゴ」とも呼ばれています。

とこぶしはアワビと異なり加熱しても硬くなりにくく、日持ちがよいため煮付けが正月料理によく用いられています。また縁起物のアワビの代用としておめでたい席の料理にも使われています。とこぶしの煮付けは、酒の肴(さかな)としても最高です。刺身も美味しいですが、酒蒸しや、揚げ物、炊き込みご飯もとても美味です。とこぶしは他の貝類と共に、脂質が少なく、低カロリー高タンパク質の食材です。とこぶしは鉄分やリン、亜鉛、銅などのミネラルを多く含み、コレステロール低下や肝臓の解毒作用を助ける働きをもつタウリンが多く含まれています。

とこぶしは漢字で「床伏」や「床臥」また時には「床節」とも書かれます。とこぶしのとこ「床」とは浅い場所のことで、「ふし」は小さいという意味。浅い岩礁にいる小さいアワビという意味です。別の説明によれば、床に伏したように見えることに由来すると言われます。岩の上にとこぶしを置くと流れるように、すべるように移動するため、別名「ナガレコ(流子)」とも呼ばれています。幼生のときコケを食べ、10mmを超えると海藻を食べます。
成長途中の幼いアワビとトコブシとは、貝殻の表面にある孔(あな)を数えるとすぐに区別できます。アワビが4〜5個なのに対して、トコブシは6〜8個もあります。個々の孔の形も、アワビは煙突状、富士山状に突き出ていますが、トコブシは孔が突き出てはいません。この孔は「呼水孔(こすいこう)」と呼ばれ、ここから海水が鰓(えら)に送られ、また海水を出して呼吸をします。
トコブシの貝殻は平たいため、一見すると二枚貝に見えますが、実は巻貝の一種です。幼貝の時は巻き貝と呼ばれるにふさわしく、貝殻が巻いていて蓋もありますが、やがて成長するとまるで二枚貝のように貝殻が平たくなって、蓋も失われてしまいます。


伊豆諸島で捕獲されるとこぶしは、フクトコブシ(Sulculus diversicolor)と呼ばれる亜種です。別名、台湾トコブシとも呼ばれています。トコブシ(Haliotis diversicolor aquatilis)ととても似ていますが、フクトコブシの方が殻が深いと言われています。フクトコブシは、台湾からも日本に多く輸入されています。
伊豆諸島の旅館のごちそうにも、とこぶし料理がしばしば登場します。それを見て「小さいアワビだ」などと勘違いせず、トコブシの味わいを堪能してみてください。

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