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地域産業資源紹介


多摩産材

■指定されている場所:八王子市、あきる野市、檜原村、青梅市、日の出町、奥多摩町

東京といえば、だれしもが「大都会」をイメージします。ところが、実際には東京都の面積の約4割が森林でおおわれています。特に東京都西部の多摩地域には、面積にして約53,000ha(東京ドーム約1万個分)もの森林が広がっています。この多摩地域で生育し、生産された木材は「多摩産材」と呼ばれています。

東京の山間部では、はるか昔から林業が盛んでした。それは地名にも表れており、例えば「檜原村(ひのはらむら)」の「檜(ひ)」とは、木材として優れた「ヒノキ」 のことを指し、檜原とはヒノキの生えている原野のことを意味しました。檜原村の「村の木」も「ヒノキ」です。ヒノキの幹はまっすぐに育つため木目の仕上がりは美しく、さらに肌理(きめ)が緻密で耐久性にすぐれているので、建築用としては最高の材料といえます。
ヒノキの活用法は建築や家具に限られてはいません。「ヒノキ風呂」は、独特の香りで好まれているように、ヒノキ材に含まれている香りの成分には気分を落ち着かせる作用があります。
一方、スギは建築用の木材として最も多く、また広い用途で使われている木材です。スギ材の肌理はヒノキと比べるとやや粗く、柔らかいために、逆に加工しやすいという性質があります。スギは戦後の復興や高度経済成長期の建築ラッシュを支えるために大量に伐採され、かつ植樹が全国で進められました。
多摩産材は、主にこのヒノキとスギから成っています。

やがて、1960年代に入って貿易の自由化が進むと、海外から安い木材が多く輸入されるようになりました。それによって、国内の林業が大きく衰退しました。スギは、二酸化炭素の吸収量が約20年で最大になり、ピークを過ぎると減少します。さらに、伐採されずに樹齢が約30年を過ぎると多くの花粉を生成するようになります。適切な成長時期に伐採することは、スギ花粉の飛散量を抑制し、さらには地球温暖化防止にも寄与します。

こうしたことを踏まえ、近頃では多摩産材を活用しやすくするための積極的な試みが増えています。
東京都は多摩産材の普及を支援するため、多摩産材情報センターを設置し、多摩産材を利用したいという相談を聞き、ニーズに応える樹種や用材を提供する材木店・製材所を紹介し、利用者と供給者のマッチングを行う情報提供を行っています。また、住宅建設に使用する木材の50%以上を多摩産材とすること等によって、優遇融資を受けることができる「とうきょうの森のいえ」という制度を設けています(平成29年度現在)。さらに、民間の住宅展示場に多摩産材モデルハウスを設置し、住宅への利用拡大とPRに取り組んでいます。他にも、多摩産材を活用した内装材や家具等の新製品開発を支援したり、駅前の商業施設などのにぎわい施設に多摩産材活用の助成をしています。
こうした働きかけの結果、東京都美術館や東京文化会館などの利用者の多い都の施設において、テーブル、椅子、カウンター、パンフレットスタンド等に多摩産材が導入されました。民間の施設においても、住宅の建材に加えて、レストランの椅子やテーブルに、学校や駅舎の天井や壁・床材に、幼稚園や保育園においては、乳幼児がぬくもりのある材質に触れることができるように床やさまざまな設備に、多摩産材が活用されています。
加えて、多摩産材は治山ダムや水路、林道のガードレールや土留めなどの土木工事の分野にも利用されています。
他にも、積み木などの木製玩具の材料として、また、利用されていなかった木材を、木質バイオマス燃料、つまり薪(たきぎ)として利用する試みも進められています。
このような活用の広がりによって、平成27年度には、約12,400平方メートルの木材(丸太)が切り出されて、原木市場に出荷されました。

近年、木材は環境に優しい材料として再び注目を浴びています。木材は、高い断熱性と保湿性をもつため、「夏は涼しく冬は暖かい」住宅を作るのに適しています。木材を触ると温かく、コンクリートや鉄を触ると冷たいのは、木材が熱を伝えにくく断熱性が高いからです。木材はもともと、非常にたくさんの植物細胞からできており、木材にするときに細胞内の水分が乾燥します。その細胞の壁の中には空気が入り、仕切られた空気が高い断熱性を発揮するのです。さらに、木材に含まれている精油成分には、カビやダニが増えるのを抑える効果もあります。

森林は、いろいろな形でわたしたちの生活に役立っています。森林の樹木の枝葉や、地面の落ち葉や草のおかげで、森林の土壌には直接雨が当たらず、土砂の流出を防いでいます。また、張り巡らされた木の根は、山崩れを防いでいます。土中の生き物たちが作る土のすきまは雨水を蓄え、その雨水がゆっくりと下降し地下水となって少しずつ川に流れ出すため、洪水を防ぐ働きもします。森林では、木材のみならず、キノコや山菜などの食糧、薪(たきぎ)や炭といった燃料、落ち葉を利用した肥料、さらに薬草や竹、蔓(つる)といった工芸材料も利用され、昔から私たちのくらしを支え、豊かにしてきました。


人や動物、それに車や工場は酸素を取り入れて二酸化炭素を出しますが、森林は逆に、二酸化炭素を吸収し、酸素を出すことによって「空気清浄機」の役割を果たします。東京都の広大な森林は、決して「単に活用されていない土地」ではありません。森林そのものの有用性に加え、ここから生み出される多摩産材は、東京都の重要な地域産業資源の一つとなっています。

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